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「彗ちゃん! 見て、この写真の子、あの画像の女の子に似てない? なんか気になって」
ソファの隣に立った僕のブレザーの袖を引きながら、紗名はテレビを指さす。
画面には制服姿の女子高生の写真が映し出されていた。
GIF動画の女の子ではなかった。
あの子は髪が肩下まではありそうに見えたけれど、この写真の女の子はショートに近いボブヘアだ。あの画像の女の子も確かそうだった。でもそれよりも目についたのは……。
「画像を見たときに気になったんだけれど、右目じりの下に大きなほくろがあったのを覚えている?」
「覚えてる! あの子にも泣きぼくろがあったよね。私もそう思ったの。やっぱりこの如月ゆつきっていう子があの子なのかな……」
紗名の声がだんだん小さくなっていく。
テレビの中ではキャスターが、リポーターに呼びかけていた。
>>――――――
「ゆつきさんの死因について、県警から発表は無かったんでしょうか。現場の本野さん」
「はい、……そうですね。捜査の都合上、公表していない情報もいくつかあるようなんですが、死因については、頚部に圧迫痕があり、窒息死の可能性が高いという情報が入っています。ただこれは正式な発表ではありません」
「つまり自死の可能性も考えられるということですか?」
「ないとは言えないですね。県警からは司法解剖の結果を待って、発表があるようです」
「そうですか。ゆつきさんの通っていた高校の様子はどうなのでしょうか」
――――――<<
画面が切り替わって、如月ゆつきが通っていたという学校の門が映し出される。
正門を通ろうとする生徒達に、入口に群がった報道陣が質問を浴びせかけていた。それを避けるように、生徒達は小走りで校内に入っていく。
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