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「でも今度はできることはしたいんだ。彼女たちの手がかりはこのリミッターにしかなさそうだから、学校が終わってからもう少し調べてみようと思っているよ」
「わかった、私も一緒に手伝うね。リプは消えてしまっているの?」
「まだ、確認していないんだ。かなりひどいGIF動画だったからもう一度見るのが怖くて。でも今確認してみる」
そう言ってから、スマートフォンのスカリムを開く。
「……やっぱりない」
綺麗に消えてしまっているリプに、もしかしてあれは夢だったんだろうかとも思えてくる。でも、確かに僕は見た。間違いない。
「わざと消しているのかな」
「それしか考えられないよ。でもどうやって見たことを確認しているんだろう」
「彗ちゃんだけ二回も送られてきているの?」
「どうだろう。もしかしたら新田とかにも届いているのかもしれないけれどね。でも、なんで僕なんだろう。どういう基準で送っているのかな。わかんないな」
ため息を吐いた僕の肩に紗名がことんと頭を乗せた。
「彗ちゃん、ありがとう」
「なにが?」
「知らないふりするって言っていたのに、ちゃんと調べたりしてくれていたから」
「なにもできていないよ。でもさ、誰かが死ぬかもしれないのに、放ってはおいたらずっと後悔する気がして。でも、父さんには言わないでよ」
「わかってる。おじさんに言ったら大変なことになっちゃうもん……あ! ねえ彗ちゃん時間!」
紗名に言われ、スマートフォンの時計を見ると、いつも家を出る時間をかなり過ぎていた。
「うわ、やばい。もうこんな時間? 電車に間に合うかな。とにかく急ごう」
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