10.三日目③

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「鹿嶋くん、浅田さん来ているよ」  帰りのホームルームが終わり空腹のあまり机に突っ伏していると、ぽんぽんと肩を叩かれた。  顔を上げた僕の席の横でしゃがみ込んだ小倉さんが「ごめんね、眠っていた?」と言いながら廊下のほうを見た。  つられて目を向けたら、壁にもたれながら紗名がスマートフォンを触っていた。 「鹿嶋くんのことちらちら見てたから、待っているのかなって思ったんだけど違ったかな? 可愛いなあ、浅田さん。鹿嶋くんって、まだ浅田さんと付き合っていないの?」 「……小倉さん、それ地味に傷つくからやめてよ」  軽く睨むと小倉さんは笑いながら首をすくめた。 「ごめんね。浅田さん本当に可愛いから、早く捕まえないと心配にならない? 私が男の子だったらすぐに告白しちゃうのになと思って」 「とんでもないライバルが身近にいたみたいだ。そうは言ってもさ、紗名にその気がないんだからどうにもね」 「そっかあ、鹿嶋くんも大変。応援してるから頑張って」  紗名は清瀬さんを見つけて、二人で楽しそうに廊下で立ち話を始めた。 「ありがと。そういえば喋るの久しぶりだね」 「だって鹿嶋くん、最近清瀬さんと仲が良いから」 「清瀬さん? 紗名が仲良いから時々話すだけだよ。僕はそれほどよく知らないし」 「そうなんだ」  なぜか小倉さんはほっとした顏をする。 「もしかして小倉さんって清瀬さんとあんまり仲良くないの?」 「仲が良くないというか……」
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