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「鹿嶋くん、浅田さん来ているよ」
帰りのホームルームが終わり空腹のあまり机に突っ伏していると、ぽんぽんと肩を叩かれた。
顔を上げた僕の席の横でしゃがみ込んだ小倉さんが「ごめんね、眠っていた?」と言いながら廊下のほうを見た。
つられて目を向けたら、壁にもたれながら紗名がスマートフォンを触っていた。
「鹿嶋くんのことちらちら見てたから、待っているのかなって思ったんだけど違ったかな? 可愛いなあ、浅田さん。鹿嶋くんって、まだ浅田さんと付き合っていないの?」
「……小倉さん、それ地味に傷つくからやめてよ」
軽く睨むと小倉さんは笑いながら首をすくめた。
「ごめんね。浅田さん本当に可愛いから、早く捕まえないと心配にならない? 私が男の子だったらすぐに告白しちゃうのになと思って」
「とんでもないライバルが身近にいたみたいだ。そうは言ってもさ、紗名にその気がないんだからどうにもね」
「そっかあ、鹿嶋くんも大変。応援してるから頑張って」
紗名は清瀬さんを見つけて、二人で楽しそうに廊下で立ち話を始めた。
「ありがと。そういえば喋るの久しぶりだね」
「だって鹿嶋くん、最近清瀬さんと仲が良いから」
「清瀬さん? 紗名が仲良いから時々話すだけだよ。僕はそれほどよく知らないし」
「そうなんだ」
なぜか小倉さんはほっとした顏をする。
「もしかして小倉さんって清瀬さんとあんまり仲良くないの?」
「仲が良くないというか……」
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