10.三日目③

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「何もないよ。それからは色々あったから」  色々と言ったときの彼女の表情は紗名と同じで、傷つき思いつめて見えた。  小倉さんまで紗名と同じようないじめを受けていたんだと思うと、やりきれない気分になる。 「もしかして小倉さんの友達も東野君のことを好きだったのかな。それで嫉妬して無視しだしたとか」 「ううん、違う。別に好きな男の子がいたの知っているから」 「じゃあどうして、仲良かったのに突然無視したりするんだろう」 「クラスに何人か東野君のことを好きな女の子がいたんだよね。友達に話したのも、友達から最近東野君と仲がいいねって話をされたからで」 「小倉さんの友達が、その女の子達にばらしたってこと? 最初から探りを入れたかっただけだったのかな」  小倉さんは少し考え込むように視線を机に落とす。それから「多分」とため息まじりの声を出した。 「他には誰にも言ったことがなかったのに、クラスに広まっていたから」 「ねえ、小倉さん。その子本当にずっと友達だったの?」 「……私もそう思った。本当は私のことずっと嫌いだったのかもね」 「でもさ、小倉さんが東野君のことを好きだからっていって、何で他のクラスメイト達まで無視するんだろう。女の子ってよくわからないな。それで清瀬さんにも無視されたりしたの?」 「清瀬さんとは元々あまり話をしたことがなかったし、直接意地悪なことをされたりもしていないんだけど……」  小倉さんは言葉を濁したまま、何か言いたそうに僕を見て、また視線を机の上に戻す。 「何か気になることがあるの?」 「……ううん。今でも当時のクラスメイトは苦手意識があるから、あまり関わりたくなくて」 「そっか……そうだよね。その友達は仲良かったのに味方をしてくれなかったの?」
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