10.三日目③

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「残念ながらね。私は親友みたいに思っていたから、ショックだったな」  そういうときこそ力になって欲しいのに。  小倉さんには悪いけれど、僕はその友達と小倉さんが離れて良かったんじゃないかと思ってしまう。  苦笑いを浮かべる小倉さんに心が痛い。きっととても傷ついたんだろう。信じていた友達に裏切られたんだから。  友達か……。ふと祐ちゃんの顔が浮かんで、心の中がざわついた。 「そういうのってよくあるのかな……。紗名も一年生の時、小倉さんみたいないじめにあっていたみたいで」 「やっぱりそうなんだ!」  驚いたようにぱっと顔を上げて彼女は僕を見た。 「うん、昨日聞いたばかりなんだけど、そんなことがあったなんて僕は全然知らなかったからショックだった」 「浅田さんとは体育の授業くらいしか接点はなかったんだけど、ぽつんと一人でいることが多かったから、もしかしてそうなのかなって気になっていたんだ。そっか、それなら勇気だして声かければ良かったな。 鹿嶋くん……言うか迷ったんだけど」 「何? 言ってよ」 「うん。私の元親友も浅田さんと同じクラスだったんだけど、その子と最近電車が一緒になって話かけられたんだ」 「紗名とも同じクラスだったんだ。それにしてもいまさら? 僕だったら話もしたくないよ」  むっとして言う僕に小倉さんは苦笑いする。でも、少しだけ嬉しそうに見えた。 「私も許す気にはならないけど、だからって同じことを仕返ししたくはないから。そのとき、当時のことを謝られたの」 「謝るくらいなら最初からしなきゃいいのに」 「まあね、鹿嶋くんの言うとおりなんだけど」
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