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「画像のこと?」
「ううん違う。あのさ……紗名に嫌がらせをさせていたのって清瀬さんじゃないよね」
「え?」
何を言われたのか分からなかったのか、紗名はわずかに口を開けたままきょとんとしている。
「えっと……だからさ、紗名に一年生のとき嫌がらせするように命令してたのは、実は清瀬さんだったんじゃないかってちょっと思って」
やっと理解したのか、紗名は途端にむっとして僕の手を離した。
「どうしてそれが美月ちゃんになるの? 美月ちゃんは一年生のとき、みんなが無視していても一人だけ気遣って、時々こっそり話しかけてくれたりしてたんだから。そんなことするわけない」
やっぱり紗名はそう思うよな……。
「噂を聞いたんだよ。中学生の頃、清瀬さんがある女の子をみんなにいじめさせていたって」
「誰から聞いたのかしらないけど、そんなの嘘だよ。一年生のときも本当は私のことを助けたかったけど、自分がいじめられるのが怖くて勇気が出なかったって美月ちゃんは言ってたもの。友達になりたいって言ってくれたとき、何度も謝ってくれたの。ばれないように声かけるのが精一杯だったって」
潤み始めた紗名の目を見て、しまったなと思う。紗名の親友を疑うなんて、やっぱり良くなかった。
「そっか、勇気を出して紗名のことを助けてくれようとしていたんだ。ごめん紗名、やっぱり噂は嘘なんだね。紗名とあんなに仲良くしてくれている清瀬さんがそんなことするわけないとは思ったんだけど、もしそうだったらって気になって」
「そうだよ。もう、彗ちゃんったら。それに犯人さがしはもうしないでって言ったのに」
頬をふくらませた紗名は僕を軽く睨みつける。
「ごめん」
「美月ちゃんのこともう絶対に疑わないでね。彗ちゃんがそんなふうに思っているのは悲しいよ」
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