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はなさんは僕が一人で夕食を食べているのを気にしていて、会うたびにウチでご飯食べて行きなさいと言う。でも、最近は僕があまり顔を出さないから、紗名に一緒に食べてくるようにと言っているのだろう。
「泣かないけどさ、紗名がいてくれたほうが嬉しいよ。はなさんがいいって言うなら、食べながら調べようか」
「うん、でも彗ちゃんのおごりね」
「……だと思ったよ」
ハンバーガーショップに入ると紗名はすっかり機嫌を直した様子だ。
「んー今日は何にしようかなあ、いっぱい食べたくなっちゃう。これも食べたいし……うーん」
レジの列に並んでいるのは四組ほど。店員から渡されたメニューを見ながら、紗名はずっと迷っている。
「そんなに迷うならハンバーガー三つくらい食べたら? 紗名が太ったとしても嫌いとか言わないからさ」
「ひどい、そんなに太ってないもん」
「太ったとしてもって言ったでしょ。太っているとは言ってないよ」
彼女の膨らんでいた頬がだんだん小さくなっていく。
「本当?」
「うん、本当。だからハンバーガー三つくらい食べても平気だよ」
「三つも食べないもん。ハンバーガーのセットと、チキンナゲットとシェークとデザートと……」
なんだかんだ言って、ハンバーガー三つ分くらい食べる気満々らしい。
でも、機嫌直してくれて良かった。
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