2.二日目①

12/19

291人が本棚に入れています
本棚に追加
/352ページ
「あ、彗ちゃんあった! 雑誌に出ていた写真と同じお店だ」  紗名が足を止めたのは、柔らかな白が基調のナチュラルな建物の前。周りに植栽されたグリーンが落ち着いた雰囲気をかもし出している。  真っ白な壁には黒い金属で店名のロゴをかたどった『hito+cafe』という文字があった。 「そうみたいだね」  カフェの外から覗いてみても、店内に祐ちゃんがいるかは見えなかった。 「中にもう祐さまいるかもしれないね」 「うん、入ってみようか」  そう言いながら白い扉を開けると、ドアベルの音がカラコロカラと鳴った。  ギャルソンエプロンをつけたショートボブの女性店員が軽やかな声で「いらっしゃいませ」と笑いかけてくれる。 「あの……友達が先に来ているかもしれないんですが」 「男性のお客様ですか?」  店員はそう確認してから店内を見回す。多分制服姿の高校生がいないか探しているのだろう。一応僕も店内を見てみたものの、男性客は一人もいないようだった。  テーブルに案内されると、二人分の水が運ばれてくる。  祐ちゃんが来たらこの席に案内してくれるというので、メニューを見ながら待つことにした。     
/352ページ

最初のコメントを投稿しよう!

291人が本棚に入れています
本棚に追加