291人が本棚に入れています
本棚に追加
/352ページ
店員がいなくなると、お洒落な名前のドリンクの写真を見ていた僕に、紗名がテーブルから乗りだして小声で話しかけてくる。
「ねえ、彗ちゃん。さっきの店員さん、まゆりちゃんみたいに可愛かったね」
「そうだった? ごめん、あんまり見ていなかった」
振り返ってその店員を見ると、確かにありたまゆりに似てはいる。でも高校生には見えないし、もっと大人びた顔をしているような気がした。
紗名はスカリムを開いて何かを探している。
「何見ているの?」
「まゆりちゃんのクラウド探しているの。あ、あった」
――――――――――
ありたまゆり@MAYURIN_SSL
まゆりん新しぃ部屋着買っちゃった
見て見て可愛ぃでしょ
まゆりヒツジ
か.。.:*ゎ・゜☆(○・艸)(艸・●)☆.。ぃ.:*・ぃ
最近よく眠れないからこれでぐっすりかも
画像を開く
――――――――――
開いた画像には、ぴょこんと羊の耳がついたフード付ワンピースを着たありたまゆりの後ろ姿が映っていた。
ピンク色のもこもことした素材で作られた部屋着を着た彼女は、まるでぬいぐるみみたいだ。
「クラウドには顔は映ってないから、プロフィール画像見ないと」
「あ、そっか」
紗名がプロフィール画面を開くと、ありたまゆりが友達に描いて貰ったという絵が表示される。
最初のコメントを投稿しよう!