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でも、今日はそんな気分にはなれそうになくて、祐ちゃんのクラウドが届いていないかだけをチェックした。
「来ていた。でも……」
「何?」
明らかに戸惑った表情を浮かべる僕のスマートフォンを、紗名が乗りだすようにして覗きこむ。
――――――――――
曾根田祐 @SONEDAYU_SSL
@ KAJIKATE_AL
【WHISPER詳細】
彗、ごめん。
どうしても行けそうにない。
また連絡する。
――――――――――
祐ちゃんからのウィスクラには、詳しい説明は何もない。やっぱり緊急の用事でもできたんだろう。
それか……。頭の中に浮かんだ望まない言葉を掻き消した。
「なんだ……ほんとに祐さま来ないんだ」
がっかりしたのか、ぺたりとテーブルに頬をつけ口をとがらせる。
「紗名、ごめん。もう帰ろうか。またあとで、今度会えるときがあるか聞いてみるよ」
「もしかしたら、私に会いたくなかったのかも」
しょんぼりと頬杖をつきながら、紗名は小さくため息を吐いた。
「何で?」
「だって、祐さまって女の子のフォロワーのことあまり好きじゃないでしょ。返事だって全然返さないし。返ってきても一言だけとか」
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