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そう言うと、まだ心配そうな顏をしながらも紗名は口を開いてくれた。
「あのね、スカリムを始めてAランクになったとき、彗ちゃん学校新聞のインタビューに載ったでしょ」
「うん」
学校新聞のインタビューに載ったのは、去年の5月の半ばだけれど、もう随分前のことのように感じる。
「聖院には有名リミッターはいないし、まだ一年生でAランクになるなんて誰だ誰だってみんな彗ちゃんのことを教室に見に行ったりして大騒ぎだったよね」
学校新聞のインタビューは毎月一人学内の生徒を取り上げるもので、各クラスに掲示されるから学校内での知名度が上がったのは確かだ。
おかげで一週間ぐらいは校内で知らない人に声をかけられることが多かったし、聖院生のフォロワーが一気に増えたのも確かだけど、騒がれたのはほんの一時のことだ。
「大騒ぎってほどじゃなかったよ。もう誰も覚えていないんじゃない?」
「そんなことないよ。彗ちゃんのファンの女の子、いっぱいいるんだから」
僕に向けられた紗名の目は少し怒っているみたいに見えた。
「でもファンって言ったって、単なるスカリムのフォロワーだし」
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