4.二日目③

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「突然クラスの女の子達から話しかけられるようになったの。みんな彗ちゃんのフォロワーでね、色々訊かれた。彗ちゃんの好きなモノとか家族のこととか。だけど答えたくないことやわからないこともあって……」 「そんなの紗名が答えなくていいよ。無視していれば良かったのに」 「そういうわけにはいかないよ。でも、みんなの知りたいことにはあまり答えられなくて、がっかりしたのかしばらくしたら話しかけて来なくなったの。それは構わなかったんだけど、なんとなくみんなから無視されているような気がして。最初は気のせいかなって思ったの。でも、話しかけても口を聞いてくれなくて」  当時のことを思いだしたのか、紗名は悲し気に目を伏せる。 「それからしばらくして、授業中に鹿嶋君に近づくなってメモが回ってきたの。何度か同じようなことがあったあと、モノがなくなるようになったり、机に落書きがされたり、だんだん嫌がらせがエスカレートしていって……」 「他に一体何をされたの」  思わず爪が食い込むくらい拳を握りしめていた。  ショックだった。紗名がそんな目に遭っていたなんて。何より全く気づいていなかったことに。 「……何だったかな。もう忘れちゃった」
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