4.二日目③

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「嘘じゃないもん。春にクラスの連絡用に全員登録しようって決まったの。クラスメイトは相互フォローすることになっていて、一応私も登録はしたしフォローもしたんだけれど、特に仲の良い子もいなかったし使うことがなくて。美月ちゃんも一年生の頃は使っていなかったみたいで、今年になってから一緒にやらないかって誘ってくれたの」 「ふうん……それでウィスクラには何て書いてあったの?」  紗名の目がすっと僕からそらされる。何か僕が不機嫌になりそうなことを隠しているらしい。 「鹿嶋君から離れないとひどい目にあわせてやるとか……」 「なんだよ、それ。その一回だけ? 他には?」 「何回かあったけど……本当に言っても怒らない?」 「怒らないよ、だから言って」 「そう言って彗ちゃん怒りそうだから。あのね……一度学校で撮った私の写真がウィスクラで送られてきたの」 「写真が? どんな写真なの?」  紗名が口ごもる。それから小さな声でぼそりと言った。 「教室で着替えているときの……」  頭の中の血液が一気に沸騰した気がした。こみ上げた怒りに僕はつい声を荒げる。 「何だよそれ! 何でそんな大切なことを黙っていたの!」 「怒らないって言ったのに」  しまったと思ったときには、すでに紗名の顔が歪み瞳がうるみ始めていた。辛かったのは紗名なのに、僕はいつもこうだ。 「ごめん。もう怒らないから」
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