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「嘘じゃないもん。春にクラスの連絡用に全員登録しようって決まったの。クラスメイトは相互フォローすることになっていて、一応私も登録はしたしフォローもしたんだけれど、特に仲の良い子もいなかったし使うことがなくて。美月ちゃんも一年生の頃は使っていなかったみたいで、今年になってから一緒にやらないかって誘ってくれたの」
「ふうん……それでウィスクラには何て書いてあったの?」
紗名の目がすっと僕からそらされる。何か僕が不機嫌になりそうなことを隠しているらしい。
「鹿嶋君から離れないとひどい目にあわせてやるとか……」
「なんだよ、それ。その一回だけ? 他には?」
「何回かあったけど……本当に言っても怒らない?」
「怒らないよ、だから言って」
「そう言って彗ちゃん怒りそうだから。あのね……一度学校で撮った私の写真がウィスクラで送られてきたの」
「写真が? どんな写真なの?」
紗名が口ごもる。それから小さな声でぼそりと言った。
「教室で着替えているときの……」
頭の中の血液が一気に沸騰した気がした。こみ上げた怒りに僕はつい声を荒げる。
「何だよそれ! 何でそんな大切なことを黙っていたの!」
「怒らないって言ったのに」
しまったと思ったときには、すでに紗名の顔が歪み瞳がうるみ始めていた。辛かったのは紗名なのに、僕はいつもこうだ。
「ごめん。もう怒らないから」
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