フォロワー～The sky is the limit～(JUNON学園ホラー小説大賞受賞作)

5.二日目④

　父さんが見ていたらきっと怒るだろうと思いながらも、スカリムを見ながら食事に箸をつける。

　新しくフォロワーになってくれたリミッターに定型文のようなリプを返し、仲の良いリミッター達からの他愛のないリプにも返信をする。

　それから、タイムラインにずらりと並ぶフォロー中のリミッター達のクラウドをチェックし始めた。半日くらい見ていなかったから膨大な量のクラウドがたまっている。

　ずっと寝ていたからか、0時を過ぎた今もまだ眠気は感じないけれど、明日の授業のことを考えるとあまりゆっくりもしていられない。

　流し読みをしながら、指をスライドさせ続ける。どうせ大半は見る必要のない内容のものばかりだし、今日はなんだか目が字面を滑るみたいに頭の中に入っていかない。

　でも、あるクラウドを通り過ぎたところで、画面の下から上へスライドを続けていた指が、Uターンするように逆に動いた。

――――――――――
仙 冬可@SENTOKA_AL

なんかホラーみたいな画像が送られてきたんやけど、
こんなんするのん誰やろ。
怖くて寝られへん。
しかもすぐに消えて誰かわからんし。
嫌がらせせんとって( #｀Д´)
イライラするから、しまかぜ様の顔見て寝よ。
いつ見てもキリッとした眉に俺様っぽいつり目がイケメンやわ。
「おい、早く乗れよ」とか言われたいわあ。
――――――――――

　仙 冬可は電車の正面デザイン、つまり顔が好きな「顔鉄」で電車の顔についてテンションの高いクラウドをする。変わった電車の顔を撮って送ると彼女から返ってくるクラウドが面白いと最近人気があるリミッターだ。

　僕がこのクラウドが気になったのは、別にしまかぜ様という（おそらく電車だろう)イケメンの顔が見たかったわけではなく、送られてきたという画像が僕や新田の所に届いたものと同じではないかと思ったからだ。

　虫眼鏡マークの検索ボタンを押すと、検索ワードを入力する画面が開き、人気の検索ワードが候補として並ぶ。しかし、あの画像やクラウドに関する検索ワードはなかった。まだ、それほど話題にはなっていないらしい。