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たかだかネット上の繋がりだと大人たちはあざ笑うかもしれない。けれど、僕にとってSSランクリミッター(SSL)は、白々しい言葉ばかりを吐く政治家や偉そうに威張り散らす医師である父さんよりもずっと魅力的に映った。
3年という限られた時間の中で、SSランクまで登りつめるリミッターはひと握りだ。だからこそ、ランクが上がる度に自分の存在意義を強く感じることができるのかもしれない。
「馬鹿馬鹿しい、くだらないことに時間を費やして。そんなことをしている暇があったらスポーツでもやって確かな人脈を作れ」――高校時代、名門ラグビー部の一員として汗を流した仲間達と今でも公私ともに付き合いがある父さんは、僕の顔を見るたびにそう言う。
小さい頃からラグビーを習わされていたけれど、母さん譲りの華奢な体型をしているうえに争いごとを好まない性格だからか、父さんの期待するような結果を出すことはできないまま高校受験を前に止めてしまった。
一度だけ「スカリムだって人脈を作ることはできる」と、言い返してみたことがある。けれども、「そんな顔も見えない関係など何の役にも立たない」と一笑に付されただけだった。
反抗心から意固地になっていると思われているのも面白くない。でも、どう思われても止めるつもりはないし……止めるわけにはいかない。
Sランクリミッターとなる100,000フォロワーまであとわずかだ。ひと月以内には達成できるかもしれない。
目標のSSランクリミッターまではまだ遠いけれど、少しずつ近づいている。そう思うと、つい睡眠時間を削ってでもスカリムをやってしまう。
チカチカとスマートフォンのランプが点滅し通知音が鳴る。画面上部に流れる通知文が、クラウドが届いたことを示していた。
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曾根田祐@SONEDAYU_SSL
@KAJIKATE_AL
彗の学校のテストは今日で終わりだったよな。
どうだったかな。
明日の話だけど考えてく
【WHISPER】
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