6.二日目⑤

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「ごめん。約束したのにあんまり成績良くならなくて。勉強は毎日ちゃんとしているんだ。次のテストでも上がらなかったら、母さんの言うように家庭教師か塾に通うよ」 「あなたが頑張っているのは知っているわ。前よりも大分順位も上がっていたし、すぐに結果が出るものでもないから、続けて頑張りなさい」 「……うん」 「その内お父さんもきっとわかってくれるわ。ねえ、スカリムも諦めたくないのなら、一度きちんとお父さんと話し合ったらどうかしら? そうすればきっとわかってくれると思うけれど」 「父さんにわかるとは思えないよ……」  母さんが悲しそうな顔をしたのがわかったけれど、僕には話し合いで解決するようには思えなかった。 「そんな顔しないでよ。勉強はきちんとやるし、ちゃんと医大にも行くから。父さんはいつもネット上の繋がりなんて無意味みたいに言うけれど、尊敬しているリミッターも沢山いるし僕もそうなりたいんだ。ねえ本当は母さんも父さんみたいにくだらないって思う?」  ゆっくり母さんは頭は左右に振る。 「母さんはネットの繋がりも実際の繋がりも、お互いのことが十分わかり合えているなら変わらないと思うわ。顏が見えない分だけ難しいことはあるかもしれないと思うけれど、尊敬できる人がいるのなら彗太にとっては大切な関係だと思う。あなたがみんなに認めて貰えるのは母さんも嬉しいわよ。それで少しはSランクに近づいたの?」 「うん、前より大分フォロワー数が増えたんだ。約束するよ、絶対卒業するまでにSSランクにまでなってみせるから。大学もちゃんと合格圏内に入れるようになる」 「期待しているわ。きっと彗太ならできると思うから。でも、本当に危ないことには巻き込まれないようにしてね」  ひどい顔色をしているのに、母さんは父さんや僕のことばかり考えている。いつもそうだ。自分のことは後回しで我慢ばかりして。 「わかっているよ。それより、早く寝た方がいいよ。顔色が悪すぎる。それともすぐに病院に行った方がいいのかな。父さん呼び戻そうか。一体いつからそんなに体調が悪かったの」
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