7.二日目⑥

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 どうやら桐嶋ハトメは画像が本物ではなく、女の子の顔写真とホラー映画か何かのキャプチャー画像を合成したコラ画像だと思っているようだ。  一人で夜中に見たくないなと思いながらもおそるおそる画像を開いてみる。  写っているのは、僕のところに送られてきた画像と同じ女の子。恐怖や痛みに歪んだ顔から目を背けたくなる。目じりのほくろが泣いているようだ。  やはり一人のリミッターがメディアリプを送りつけていると考えるのが自然な気がする。断定はできないけれど、きっと新田のも同じ画像なのではないだろうか。  画像を見ていると、初めて見たときと同様にとてつもない恐ろしさが這いあがってくる。どうしてもこれが偽物だなんて僕には思えない。耐え切れず画像を閉じて、しばし強く目を瞑った。  大きく深呼吸してから検索サイトを開く。『英奏女子』と検索ワードを打ち込むと、最上部に表示されたのは英奏(えいそう)女子高等学校という学校の公式サイトだった。ウェブ検索から画像検索に切り替えると、サムネイル表示に変わる。  英奏女子高校の校舎や教室の画像、それに生徒と思われる女の子の画像が時々混ざって出てくる。制服がはっきりと映っている画像がないか探す為に画面をスライドしていくと、ある画像に目が留まった。校庭らしき場所で緊張気味の笑顔を作った十数名の女子生徒と教師が並んでいる画像だ。部活動か委員会の集合写真と言ったところだろう。  チェックのプリーツスカートに紺色のブレザー、胸元には水色のリボンが結ばれている。  あの女の子が笑顔を浮かべるところを想像してみた。しかし頭の中の彼女は上手く笑ってくれない。  スカートはあの画像には写っていなかったけれど、ブレザーに入ったラインや胸元のリボンは、確かに彼女が着ていた制服と同じに見える。桐嶋ハトメの言うように、彼女はこの英奏女子高校の生徒である可能性が高い。
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