7.二日目⑥

5/6

291人が本棚に入れています
本棚に追加
/352ページ
 彼女のタイムラインの一番上に表示されているウィスクラは僕が桐嶋ハトメに送ったものだった。もちろん、こんなウィスクラを送った覚えはない。でも、確かに僕の名前で、IDも間違っていなかった。夢でも見ているのかと思ったけれど、そんなこともなさそうだ。  僕はもう一度自分のタイムラインに戻り、桐嶋ハトメのウィスクラを確認する。 「あれ……ない」  さっきまであった僕宛ての画像のついたウィスクラがなかった。桐嶋ハトメはすでにさっきのウィスクラを僕が送ったと思って消してしまったようだ。  誰かが僕のフリをしているというのは、とても奇妙で気味が悪かった。言葉遣いも僕のクラウドだと思えるし、書かれていることも問題はないけれど、どこか違和感を覚える。本人じゃないのだから当然なのかもしれないけれど、そのわずかな差異により気味が悪く思えるのだ。  桐嶋ハトメにもこれは僕が送ったウィスクラではないと説明をしたかったけれど、誰かが僕の代わりに送ったといきなり言っても信じて貰えるはずもないし、否定したからと言って送る内容がそう変わるわけではない。  僕だって桐嶋ハトメに一連のリプやウィスクラを消して貰った方がいいかなとは思ってはいた。けれど、その理由は彼女が新田の犯人捜しに巻き込まれるかもしれないと思ったからだし。画像を送ってきたリミッターの正体を知りたいと思ったのは、新田のように犯人捜しをしたいわけではなく、画像の女の子の安否が気になるからだ。
/352ページ

最初のコメントを投稿しよう!

291人が本棚に入れています
本棚に追加