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「いらないもん!」
その朝、5才の孫娘、モモちゃんはカンカンだった。
「いや、モモちゃん?」
「おじいちゃん!アレ捨てて!」
彼女は神棚に大切に祀られたある物を指差す。
頬っぺたを真っ赤に染めて激怒する孫娘に、人の良い竹春は痛々しいほどうろたえていた。
「あれはね、神様の天馬の貴重な──」
「フンだもん!!」
他の家族も彼女の言い分はもっともだと頷く。
祖父・竹春はもう涙声である。
「モモちゃん……喜んでくれると思ったのに……」
彼女はそんな祖父を振り捨て、彼の元から走り去った。
家族に語った竹春の証言はこうだ。
昨夜遅くトイレに立った彼は窓の外が、昼間のように明るく眩しいことに気づく。
不審に思い、トイレの小窓をそっと開けた竹春。
するとそこには、黄金に輝く翼を持つペガサスが、庭の草をのんびりと食んでいた。
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