ざわざわ、するんだよね。

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ざわざわ、するんだよね。

海ちゃんに彼氏ができたのは高1の終わり。 だからもうすぐ半年になる。 海ちゃんの彼氏は隣のクラスの武田くん。 1年の時はみんなで同じクラスにいたけど、2年になったらみんなばらばら。 寂しいけど、海ちゃんと武田くんが一緒で私だけが別っていうのはもっと寂しいからこれで良しとしよう…って、私、海ちゃんのこと妬んでるのかな…いや、どっちかっていうと武田くんに嫉妬してるんだ、私。 …ああ。どっちにしても、イヤな感情なのだな。 ひとりぼっちのランチタイムにもようやく慣れた…ような…気がする。 「ひなたも一緒に食べようよ」 海ちゃんは何度も何度もそう言ってくれたけど、武田くんも糸みたいに細い目をさらに細くして人の良さそうな笑顔でうなづいていたから、ますます甘えられなくなった。 だって、武田くんに海ちゃんを譲ってもらったらますます私の海ちゃんじゃなくなっちゃうように思ったから。 海ちゃんは、私にとって初めての親友と呼べる友達だった。 中学受験をして入った中高一貫の私立。 誰も知らないひとりぼっちの教室。 コミュニケーションに長けてる人間はあっと言う間に溶け込み、私と海ちゃんが残った。 海ちゃんはひとりぼっちでいることに違和感を感じないほど堂々としていて、反対に私はクラスに馴染めない自分を恥じていた。 そんな私と海ちゃんを繋いだのは武田くんだった。 武田くんの家はお寺で、野球部でもないのに青い丸坊主の頭は最初からインパクトがあった。 海ちゃんはその坊主頭を所構わずひっぱたいた。 「うじうじしないっ!」 「めそめそしないっ!」 「たらたらしないっ!」 叩かれた武田くんは 「痛ってえ…」 と言いながらも、いつもにこにことしていて嬉しそうだった。 そしていつも海ちゃんのそばにいた。 私もそんな2人のそばにいて、そのやり取りを見て笑っていた。 そうして、気がついたらいつも3人でいた。 つっけんどんな海ちゃんの言葉に武田くんがひとこと付け加えるだけで、海ちゃんの優しさががっつり伝わる。 武田くんが居なかったら、私は海ちゃんとこんなに仲良くはなれなかったと思う。
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