8.続・Melty touch

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「さあ、お楽しみはココまでだ。 この後はきっと大変だぞ。 お前の父親は承諾してくれたが、 許婚の爺さんが厄介そうなんだ」 え、ええっ?! いつの間にそんな情報を? 奥成家からこのホテルまで、 私たちずっと一緒だったよね?? ナカダ氏は私の思考が読めるのか、 サラリとこう言った。 「俺の警護担当は優秀だからな。 さっきエレベーターで背後から 必要な情報だけを耳打ちして行ったんだ」 い、いつの間に?? …続けてナカダ氏は説明を始めた。 成田家に住込みで働いている 20代の若い家政婦が、 実は許婚殿のお手付きで。 何もかも逐一報告しており、 今回の破談の件もいち早く伝え済みだと。 そのせいで既に許婚殿とその祖父が 父の元にやって来ているそうだ。 「あそこの爺さんはエゲツないからなあ。 肝を据えて立ち向かわないと、 簡単に足をすくわれる」 「だ、大丈夫なの?」 まるで騎士みたく跪き、 私の右手の甲に口づけながら ナカダ氏は答える。 「…誰に訊いてんだ?その質問。 この俺が、負けるワケないだろ。 エゲツなさはこっちの方が上だから。 自慢じゃねえがな、拷問、誘拐、略取、 ひと通り経験済みだっつうの。 あんな甘チャンの許婚には、 絶対に負けないから、安心してろ」
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