第1話 蝶の妖精

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………しかし、中学生の行動範囲では、ロクな結果が得られないことは、明らかだった。 由紀「う~ん……ダメか……」 時刻は夕方の5時前。そろそろ帰る時間だ。 舞「さすがに今日はもう帰ろう。ケーサツの人も捜索してそうだし、補導とかされたくないし……」 由紀「……そうだね。アイちゃん……大丈夫かな?」 アイちゃんとは、行方不明になった由紀の親友である。 無事だと信じることしかできなかった。 由紀「じゃあ、私電車こっちだから……」 舞「うん、また明日ね。」 由紀は改札を通って、ホームに向かう。 舞も改札を通ろうとするが、様子がおかしい。 帰宅ラッシュの時間帯で、ホームは混むのは当然だが、待っている人の数が尋常じゃない。 そのとき、駅にアナウンスが流れる。 『お客様に、電車の遅れについてご連絡致します。 ただいま、○○線、△△駅間で発生しました、人身事故の影響で、全線運転を見合わせております。 電車遅れますことをお詫び申し上げます。復旧まで、いましばらくお待ちください。』 どうやら事故で、電車が止まっているようだった。 舞「うわ、最悪……」 家まで歩いて約30分。 電車が来るまで待ってもいいが、この混雑具合である。 電車で帰るよりも歩いた方が速いと、思い、改札を通らず、駅を出る。 ……『1人で帰るのは危険』 舞「……………大丈夫よ。きっと、たまに通っている道だし!」 私なら大丈夫。そう慢心していた……。
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