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清々しい朝なのに。
外では下のゴミ捨てに出た松田さんと山下さんのドウデモイイ世間話が聞こえてくるのに。
なのに何故。
何故俺の上にはお化けがいるんだよ。
今の悲劇を恨んでいる間に、ロングヘアーのレディはとうとう俺の胸元まで来て、傷だらけの青い手のひらを伸ばして来た。
あ、俺死ぬ。
母ちゃんごめんなさい。
俺、チェリーのまま清い身体で死ぬ。
幼い頃からの記憶が走馬灯となって巡るなか、お化けは俺の胸ポケットを掴むと、ひょいと何かを持ち上げた。
青い手の中にあるのは、パン……つ?
小さな小さな白いパンツを、お化けは持っていた。
そして俺に背を向けると、お化けはごそごそとパンツを履き始めた。
あっ……俺、あの時太もも掴んだと思ってたけど、スカートの下に手ぇ入れてたんだ……パンツ……持って来ちゃったんだ……。
お化けはパンツを履き終えて気が済んだのか、いつの間にか俺の金縛りを解いていた。
「あの、パンツ、持って来ちゃって、ごめんなさい……」
『……ばかっ……』
そう言って、お化けは消えた。
千の天使より、パンツを履くお化けに萌えた。
最後の『ばかっ』が、妙にキュンとした。
パンツちゃん、本当にごめんね。
ー終ー
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