第4話 広紀と鋼太郎の一番長かった夜について

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 あの優留が電話口で悲鳴を上げるのを初めて聞いた。広紀は横断歩道の真ん中でにやにやしてしまうのを抑えられない。 「俺が手加減するとでも思った?甘いね。…今すぐ言えなかったら後でもいいよ。明日、収録終わった打ち上げの時とかでも」 「言います!今すぐ言います!十秒…いえ二十秒待ってくださいっ。あっくんゴメンな。にーちゃんちょっと、トイレ!」  フローリングの床の上をばたばた走る音やらドアが勢いよく閉まる音やらがした後、ふあー、と溜息が聞こえてきた。
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