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「だ~か~ら~。気にしなくて良いって。そりゃ、毎日はキツいかもしれないけどな」 「佐川……。本当に良いの?」  佐川の申し出は嬉しい。でも、どこか信じられず、何度も尋ねてしまう。すると、「しつこいっ」と、肩を軽く殴られてしまった。 「俺の血で瀬戸が元気になるんだったら、俺はスゲー嬉しいよ」  そう言い、佐川は満面の笑みを向けてきた。僕は、その眩しい笑顔に何度も「ごめん」と繰り返し、佐川の気持ちを受け止めた。  それから僕は、週一で佐川の血を貰うことになった。  ◇ ◇ ◇  誰もいなくなった放課後の教室で、僕は佐川の首筋に牙をたてる。そして、彼の甘い血を自分の中に流し込んでいく。 「っう。……イテテっ」 「あ……ごめん」  痛みに顔を歪ませる佐川。僕は咄嗟に口を離し、視線を伏せる。 「んー。瀬戸って血を吸うの下手なの? でも、最初の時はそんなに痛くなかったけどなぁ」  牙の痕が残る首筋をさすり、佐川が首をひねる。 「ごめん。練習はしてるんだけど……。なかなか上手くいかなくて」  ショボくれる僕に、佐川はさらに首をかしげる。  こうやって血を飲ませてもらうようになって、もう随分と経つ。それなのに、佐川にはいつも苦痛を与えてしまっていた。しばらく吸血行為をしていなかったから、恥を忍んで子ども用の練習キットで密かに練習を重ねているのにだ。全く進歩のない不甲斐なさに、自分が情けなくなってくる。そして、佐川に対して申し訳なさでいっぱいになってしまう。 「なあ、瀬戸って、なんか悩みとか抱えてる?」 「悩み?」 「そう、悩み。上手くいかないのって、案外精神的なもんからきたりしてんじゃね?」  顔を覗き込んできた佐川が、ずばり突いてくる。僕は返答に困り、黙り込んでしまう。
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