彼女の話

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 彼女の家はオレが住んでいた町からテーマパークがある方面とは逆側に3駅戻った町にある。彼女の家に行くのはいつも車だったので、電車で行くのは初めてだ。オレは電車に揺られながら、彼女がどこにいるのか考えた。車で10分なのだから、彼女の家の近くなのかもしれない。  駅から徒歩10分ほどの場所にある彼女の家の近くまで歩いていくと、周りはマンションが多いエリアになった。今は午前中だが、通勤通学時間はとっくに過ぎていて、人通りもそこまで多くない。夜中になれば、きっとほとんど人通りはないのだろう。  オレは彼女が住んでいるアパートの前まで来た。 『へえ、綺麗な町に住んでいるんだ』 『うん。でも、ご近所さんとはほとんど付き合いないよ。だから少し退屈で、少し怖い。両隣は誰が住んでいるのか知っているけど、その隣になると、誰か分からないもの』 『夜は大丈夫なのか?街灯はあるけど、仕事で結構遅くなることが多いんだろ?』 『今のところは大丈夫。本当に遅くなったときは、駅からタクシーで帰るようにしているから』  しかし3日前、彼女は歩いて帰っている途中で、何者かに襲われ、閉じ込められている。もし、その日もタクシーで帰っていたら、こんな目に遭わずにすんだかもしれないのに。 ポーン 『ここから出られない。叩いたりしているけど、周りが固いし、狭い』 『今、お前の家の近くにいる。この近くで、人間が隠れられそうな場所知らないか?』 『ゴミ収集倉庫。このあたりのゴミ収集、小屋みたいになってる』 『探してみる』 『何か、ときどき圏外になる。早く見つけて』  オレはこのあたりのマンションのゴミ収集倉庫を、手当たり次第探してみることにした。
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