1人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女の家はオレが住んでいた町からテーマパークがある方面とは逆側に3駅戻った町にある。彼女の家に行くのはいつも車だったので、電車で行くのは初めてだ。オレは電車に揺られながら、彼女がどこにいるのか考えた。車で10分なのだから、彼女の家の近くなのかもしれない。
駅から徒歩10分ほどの場所にある彼女の家の近くまで歩いていくと、周りはマンションが多いエリアになった。今は午前中だが、通勤通学時間はとっくに過ぎていて、人通りもそこまで多くない。夜中になれば、きっとほとんど人通りはないのだろう。
オレは彼女が住んでいるアパートの前まで来た。
『へえ、綺麗な町に住んでいるんだ』
『うん。でも、ご近所さんとはほとんど付き合いないよ。だから少し退屈で、少し怖い。両隣は誰が住んでいるのか知っているけど、その隣になると、誰か分からないもの』
『夜は大丈夫なのか?街灯はあるけど、仕事で結構遅くなることが多いんだろ?』
『今のところは大丈夫。本当に遅くなったときは、駅からタクシーで帰るようにしているから』
しかし3日前、彼女は歩いて帰っている途中で、何者かに襲われ、閉じ込められている。もし、その日もタクシーで帰っていたら、こんな目に遭わずにすんだかもしれないのに。
ポーン
『ここから出られない。叩いたりしているけど、周りが固いし、狭い』
『今、お前の家の近くにいる。この近くで、人間が隠れられそうな場所知らないか?』
『ゴミ収集倉庫。このあたりのゴミ収集、小屋みたいになってる』
『探してみる』
『何か、ときどき圏外になる。早く見つけて』
オレはこのあたりのマンションのゴミ収集倉庫を、手当たり次第探してみることにした。
最初のコメントを投稿しよう!