彼女の話

7/19
前へ
/19ページ
次へ
『暗い所にいる』  オレはメッセージを読むとすぐに返信した。 『何があった?』 『わからない。家に帰る途中急に殴られた』 『狭くて息苦しい。早く』 『大丈夫だ。すぐに助けに行く』  メッセージを送ってしばらく待ったが、彼女からの返事はなかった。オレは友人に電話をかけた。 「どうした?」 「彼女から連絡が来た」 「そうか!で、どこにいるんだ?」 「それが、よくわからないんだ」 「分からないって、なんだそれ?」 「彼女からLINEが来て、暗いところにいて、狭くて息苦しいって。家に帰る途中で殴られたんだそうだ。でも、それっきり返事がない」 「それ、絶対にどこかに閉じ込められているだろ。俺の方から警察に連絡しておく」 「ああ、それともうひとつ。彼女、オレと別れるときに『他に好きな人ができた』って言っていたんだ。もしかしたら、そいつが何か知っているかもしれない」 「わかった。俺の方でもそいつのことを調べてみる。俺の彼女が知っている奴かもしれない」 「オレは他の場所も探してみる。それじゃあ」  オレは電話を切ると、彼女と思い出のある場所へ向かった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加