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 供えた線香の煙が細くたなびくのをしばらく眺めていた響子は、そっと立ち上がった。 「浅川さん」 「本当に、ごめんなさい」  いつものようにそう言ったあと、響子はふと唇をゆるませた。 「あぁ、ちがうか」 「どうもありがとう」  そう口にした響子は、なんだかとてもおもしろい冗談を言ってしまったときのように、クスクスといつまでも笑い声を上げながら、足取りも軽く去っていった。
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