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「えっ……」
かくん、と。
まつりの体は糸の切れた人形のように重心を失い、後ろに倒れ込んだ。
松井と左右から引っ張り合うように掴んでいた響子の手が、ふいに引きはがされたのだ。人ひとり分の重りを失った秤は勢いよく跳ね上がり、反動でまつりの体は宙を舞った。
「きゃあああああああーーーーーーーーー!!!」
ホームに、麻衣の悲鳴が響き渡る。
電車は、思ったよりもすぐそばまで迫っていた。まつりは線路に尻餅をついたまま、呆然とホームを見上げる。
松井が非常停止ボタンを押している。
麻衣の悲鳴に、電車の警笛が重なった。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
ガゴガゴガゴッ、といやな音を立てて、電車が止まる。
喧噪のなか、響子のつぶやきを聞きとがめるものはなかった。

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