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高校に入学したての僕らはこれから始まる高校生活に対する期待より不安に、その未熟な心の大部分を占められていたと思う。
みんなどうにかして周りと繋がり、なんとか孤立だけはしない様にと必死だったようで。
最初は期待に満ちていた僕の胸もどんどんしぼんでいった。高校に入ったら文芸部を作ってやろうとか、だいそれた事を考えていた時期もあった。両親が小説好きで自分の名前の由来が、ある作家の名前であることから自分は特別なんじゃないかなどと夢を見ていたんだ。そもそも今はもう人工知能が小説を書く時代。僕らが大人になるころには、いわゆる小説家なんて職業はないかもしれなかった。
科学の発展に災いあれ。
『1-1』と書かれたクラスに入ると四十程の席が用意されており、数人が席についていたり、談笑を交わしたりしていた。今年の一年はこの一クラスだけらしかった。
僕は一から文芸部を作りたかったので、とにかく文芸部が無い学校に行こうと決めたため、通っていた中学の同級生が一人も行かないような辺鄙な学校に進学した。
しばらくしてやたらと背が高く、白衣を纏った二十代後半くらいに見える人が現れた。
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