アイ君

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 次の日朝のホームルームでクラスの担任の先生から話が出た。  クラス内でかなり酷いいじめがあるらしい。  怒らないからみんな目をつぶって、心当たりがある人は手を上げなさい。  そんな内容だった。  僕は愕然とした。  それまで、先生という存在は多少マッドサイエンティストっぽくとも、日々教職に誇りを持ち、職務に勤しむ真っ当な大人であろう、くらいには思っていた。  しかし、そんな認識でもまだ甘かったらしい。  昨日の放課後、僕は担任の先生に事のあらまし、これまでの経緯を全て話した。  この問題はもう一生徒の手に余る、学校全体でこの問題に取り組んでほしい。  このままエスカレートしてしまうと大変なことになる。  そう言うと、先生はその場ではまるで先生のように僕に接してくれた。 「よく話してくれたな。それはとっても勇気がいることだ。なかなかできる事じゃない。よし、この件は先生に任せろ」  そんな事を言っていたはずだった。  しかし、フタを開けてみればまるで小学生の盗難騒ぎをいさめるときにしか使わない様なこの対応は何なのだ。  これでは火に油を注ぐだけだった。  そう思った時、僕の耳にとても尖った凍り
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