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「この後、魔法解放の儀をやるみたいだね」
おっ、マジでか!!
ついにやってきた!!
「いやぁ、もうずっとこの日を楽しみにしてたんだよ、俺! きっと格好良い魔法が使えるに違いない!」
「あはは、どれだけ楽しみにしていたんだい?」
レイが上品に笑う。
リリルも口を押さえてくすくすと笑っている。
いいじゃん、魔法なんて現実世界に住んでいた俺にとっては夢だったんだよ!
「そう言うけどさ、レイやリリルだって魔法使いたいだろ?」
「うん、そうだね」
「う……うん。使えた……ら、生活がきっと……楽になる」
確かに魔法は火属性や水属性が少しでも使えたら、生活が大変楽になる。
俺の父さんと母さんは残念ながら魔法の素質がなかった。だからその身で自給自足を頑張っている訳だ。
リリルの村は、結構生活苦しいのかな?
まぁ俺の場合はユニーク魔法は確定している訳だから、きっと生活の役には立たないんだろうな。
だがその分、きっとすっげぇ魔法が使えるはずだ!
俺達三人が魔法について胸を弾ませながら語り合っていると、一人の女性が入ってきた。
年齢は二十代前半といった所か?
修道服に近い服を着ていて、立ち振舞いも礼儀正しい。
金髪のロングヘアーを三つ編みにしたおさげさんで、眼鏡を掛けている。
クラスの委員長がそのまま成長しました、って感じ。
くっそっ、俺がもう少し早く生まれていればアプローチできたのに!
あっ、俺はこの世界では自分の欲望に忠実に生きようと決めてます。
いいと思ったらYES、嫌だと思ったらNOと言う。思い立ったら即実行!
俺はもうイエスマンじゃないのだ!
「皆さん、お静かに。今日からこのクラスを担任します、《アンナ・レイモンド》です。先生と一緒に楽しく勉強をしましょう!」
アンナ先生がそう言うと、クラスの皆は元気よく「はーい!」と答える。
俺は精神年齢が四十歳だから、それは流石に出来なかった。
「では皆さん揃っているようなので、この後魔法解放の儀を行いますね?」
アンナ先生がそう言った途端、クラスの皆がいてもたってもいられない感じにソワソワし始めた。
うん、わかるぞ皆! 俺だってワクワクしてんだから!
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