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「お静かに! この魔法解放の儀によって魔法が使えるようになります。ですが、魔法が使えない人もいるのは事実です。ですから必ず使えるとは思わず、『使えたらラッキー』と思っていてくださいね」
おおぅ……、この先生結構ストレートに言うな。
でもそのおかげで浮き足立った皆は静かになった。使えないかもしれないって不安が出てきたんだろうな。
皆の表情に緊張が走っている。
その中で俺だけは余裕の表情だ!
なんたって、魔法が使えるのは確定しているからな!
……ユニーク魔法だけどね。
「す、すごいねハル。先生のあの言葉で落ち着いているなんて」
ガッチガチになっているレイが、俺に驚いた表情を見せて話しかけてくる。
「別に使えなかったからって、死ぬ訳じゃねぇし。魔法が使えなかったら生活出来ない訳でもねぇだろ?」
「……確かにそうだね。僕は今まで魔法を使えなくても暮らせてたからね」
「う……うん。そう、だよ、ね」
リリルは顔面蒼白だった。
でも、俺の一言で二人とも少し安心したようだ。
よかったよかった!
「それに俺は、魔法が使えなくても剣があるしさ。そっちで身を立てられるし」
「へぇ、君は剣が出来るんだ。後でお手合わせ願おうかな?」
「いいぜ、怪我しても泣くなよ?」
「大丈夫だよ」
やっぱりこいつ、貴族だけあって立ち振舞いもそうだが、言葉遣いが五歳児とは思えない。
それなりに教育は受けているんだろうな。
こりゃ、手合わせも気を引き締めないと、俺がボコボコにされそうだ。
皆が緊張している中、俺達三人だけは緊張がすっかり解れた。
さて、この魔法解放の儀だが、一人ずつ行われていく。
アンナ先生が生徒の名前を呼び、その生徒は先生の所へ向かっていく。
まずアンナ先生が何か呪文みたいなものを小さな声で呟いている。何言ってるか聞き取れない。
その後に、子供の頭位の大きさの透明な水晶球に触れさせる。
すると、水晶球が赤く光った。
「おめでとう! アンディ君は火属性の魔法が使えるようになりました! 魔力量は《ランクC》ですね」
へぇ、あの水晶球で属性と魔力の量がわかる訳か。
でも魔力量って増やせないのかな?
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