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さて、俺は生まれ変わった。
赤ん坊からのスタートだ!
いやぁ、前世の記憶を引き継ぐのは正解だったわ。
生まれたての赤ん坊の時から、すでに意識ははっきりしている訳だしな!
俺がよく読んでいた異世界転生ものの出だしは、まず相手の言葉がわからない事なのだが――
「ーーーーー○○××△」
うん、案の定わからなかった。
今話したのは恐らく俺の母親だろうけど、まだ目が発達していないのかぼやけている。女性の声ってのはわかるな。
だが、そこは想定内さ!
なら俺は、このアドバンテージを活かして、さっさと言語を覚えてしまおうじゃないか!
言語を覚えて、定石である情報収集を早めにやってしまおう。
あっ、俺性別どっちだ?
とりあえず股間を触る。
うっ、腕短けぇな。えっと、うん、俺は男だ!
よかったわぁ、女だったらどうしよかと思ったよ。
俺は童貞を捨てたいの!
童貞を捨てさせる側には回りたくないね!
というわけで、さくっと一年経過して、俺は無事に一歳になった。
このまま長々と赤ん坊時代を語っても、どうせ異世界転生ものと似たような感じだから、大きな変化があった部分をさくっと説明する。
まず、俺の名前は、《ハル・ウィード》というみたいだ。
生まれて半年で覚えた言葉で、俺の事を父さんと母さんが呼んでいたから、ほぼ間違いない。
そしてハイハイも出来るまでに成長した俺は、早速本を漁る。
この世界の文字はアルファベットに似ていたから、結構簡単に習得できた。もうちょっと苦労するかと思ったんだがなぁ。
とりあえずこの一年は、文字の習得にさらに費やした。例えば諺はあるかとか、どういう単語があるのかとかね。
俺は前世で作曲をしていて、作詞もやった事がある。
こういう時に役立つのは語彙力だ。
つまり俺は、この語彙力を増やしていったって訳だ。
ちなみに、この歳で初めて「ぱぱ、まま」と言ったら、泣いて喜んでくれた。
ちょっと照れ臭いぜ。
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