2#エスという名の野良犬

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きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!」    ・・・はっ・・・!!  振り向くと、そこは塀。行き止りだった。  「へっへっへっへっへっへっ・・・」  悪ガキ達は、ヘラヘラしながら木の棒を持って野良犬のエスに向かって仁王立ちしていた。  「ううううううう!!ううううううう!!」  野良犬のエスは、唸り声をあげて威嚇した。  「コノヤロウ!!」  独りの悪ガキが、持っていた木の棒を野良犬のエスの頭目掛けてふりかざしてきた。  バシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッバシッ!!  「きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!」  悪ガキに棒で打ちのめされるエスは、のたうち回って悲鳴をあげた。  悪ガキ達は今度は、癇癪玉をエスに投げつけた。    パン!!パンパンパンパンパン!  「ぎゃいーーーんー!!」  炸裂する癇癪玉の爆発音に、エスは激しく仰天した。  その時だった。  ガブッ!!  「ぎゃああああああああ!!」    野良犬のエスは、木の棒を振り上げていた悪ガキの腕を涎で濡れた牙を剥き出して噛みついたのだった。  「大丈夫か?!」  「ちくしょう!!仇をとってやる!!」  「ぶっころしてや・・・」  ガブッ!!  ガブッ!!  ガブッ!!  「ぎゃああーーー!!」  「痛いよーーーー!!」  「母ちゃーーーーん!!」  エスに次々と噛まれた悪ガキ達は、患部を抑えてたうち回ってその場から退散した。  数日後のことだった。
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