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「ううう・・・苦しいよお・・・」
野良犬のエスに噛まれた悪ガキ達は、各々の家で高熱に侵されて寝込んでしまった。
その頃エスは・・・
野良犬のエスは、用水路の川沿いを歩いた。
エスは、チラッと川のゴミがプカプカ大量に浮いているヘドロだらけの水を見たとたん・・・
「ぎゃいん!!」
エスは川の水に戦慄が走った。
川の水自体に戦慄が走った。
歯茎から血が出る程剥き出した牙。
口から涎が止めどなくダラダラ流れ、
パンパンに孕んだ鼻の孔からも鼻水が滴り、
血走った目が爛々と輝き、
顔はこの世とは思えない位におぞましく顰めっ面になっていた。
・・・何なんだ・・・この脳髄から神経までくる激しい苦しみは・・・?!
・・・憎い・・・!!
・・・何もかも憎い・・・!!
・・・何でこんな気持ちになるんだ・・・?!
・・・噛みたい・・・!!
・・・何もかも噛み潰したい・・・!!
・・・やめろ!!何てこと考えるんだ・・・!!
ふーーーっ!!ふーーーっ!!ふーーーっ!!ふーーーっ!!
ぜはーーー!!ぜはーーー!!ぜはーーー!!ぜはーーー!!
うううううう・・・う・・・ううううううう!!
エスは全部が全部、なにがなんだか解らなくなった。
・・・何がどうなってるんだ・・・!!
「きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!きゃいん!!ぎゃいーーーん!!ぎゃいん!!ぎゃいん!!ぎゃいん!!ぎゃいん!!ぎゃいん!!ぎゃいん!!ぎゃいん!!」
野良犬のエスは、川原でのたうち回った。
「嫌だ!!こんなの俺じゃない!!こんなの俺じゃない!!こんなの俺じゃ・・・!!」
「おい、君、人間のガキ噛んだか?」
「う、うるせええええええ!!」
野良犬のエスは突然『カメ』という名の野良犬に声をかけられたとたん、取り乱して相手に噛みつこうとした。
「おっと!僕にも感染を・・・」
ガブッ!!
「おめえ・・・俺を噛んだな・・・!!おめえの『狂犬病』が感染ったら、ただではすまさねえぞ・・・!!」
「きょ・・・『狂犬病』?!」
相手の首筋に噛みついていたエスは、カッ!と目を見開いた。
「お・・・おめえの噛んだ人間のガキ・・・おめえの『狂犬病』が感染って皆死んだぜ・・・!!」
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