壊れる

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 この日は大学が休みだった。  しかし折角の休みだというのに、この暑さでは動く気にもなれない。何もしていなくたって、額からは汗が滲み出るし、毎年、この時期がいちばん苦手だった。  その蒸し暑い中、私は友人の家で冷えたソーダ味のアイスを齧る。  けれど、この暑さを扇風機一つで凌ごうとするこの部屋では、アイスはポタポタと溶けてしまっていた。ティッシュで液体を拭ってもべとべとだ。  二人とも無口になり、テレビから流れるニュース番組のアナウンサーの声と扇風機の音が、やけに煩く感じる。 「…ねぇ、エアコン付ないの?」  聞くと、友人はアイスの棒を近くのごみ箱に捨ててから答えた。 「節電だよ、節電」  そうは言うものの、彼女本人だって暑そうにしている。手で扇いだところで、そんなものは気休め程度にしかならない。髪の短い彼女でさえ暑いのだから、もっと私のことも考えてほしいものだ。  暇だから何となくでここに来たのだけれど、やはり自分の家にいた方が賢明だったかと、今更ながら後悔する。 「…私、もう帰るね」 「え?」  私は立ち上がり、ごみ箱にアイスの棒を捨てた。     
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