第16章 エースの意地

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『ストライクスリィ!バッターアウッ!』 実況『恋恋高校の1年生投手の大神、快調なペースで三振を奪います。これで5つ目!』 解説『しかもほぼ速球だけですからねぇ…』 『9番…セカンド、土生くん』 土生『(僕がさっきしっかり守ってたら…!)』 御子柴『…頼むぜ、土生』 大神『…ふっ!』ビュッ! ギュルルルルッ! 土生『ッ!』 キィンッ! 『ファール!』 虎太郎『(確か友沢によるとコイツはミートが上手い、ヒカルと似ているタイプの打者って言ってたな)』 虎太郎は一瞬嫌な予感がした。 虎太郎『(さっきと同じ事が出来るとされたら厄介だな)』 ビュッ! ギュルルルルッ! キィンッ! ビュッ! ギュルルルルッ! キィンッ! 『ファール!ファール!』 虎太郎の嫌な予感は的中した、土生はファールで球数を稼ごうとしている。 しかもほぼ速球なら、ある程度の実力のある打者ならファールにする事は容易い事なのだ。 虎太郎『(ここは変化球で抑えるぞ)』 虎太郎はこの試合で初めて大神にサインを送った。 しかし… 大神『…』 大神は頷く事もしなければ、首を振る事すらしない。 虎太郎『(あのバカ、自分で配球するから俺からのサインなんて興味も無いってか)』 大神『…ッ!』 ビュッ! ギュルルルルッ! キィンッ! 『ファール!』 土生『(確かにこの投手を攻略するのは至難の技かもしれない…だけど速球しか投げないのなら手はいくらでもある!)』
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