第1章 スタート

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『…ごめん。ありがとう、僕に付き合ってくれて…負けたからもう関わらないから僕のことは忘れて…』 すると虎太郎が 『何言ってるんだ?』 『この勝負は君の勝ちだ』 『へ…?』 少女は理解できなかった。 『な、なんで…だって僕打たれたんだよ…?ヒット…』 『…あんなの俺がショートなら捕ってるさ』 『だから、結果は凡打…納得した?』 『それに…この勝負は3球目でついてたのさ』 『え…それってどういう…』 『これ』 虎太郎は少女にバットを渡した。 『そのバットよく見てみな…』 少女は言われた通り、バットを見てみた。 グリップの所には赤く染まった箇所がたくさんあった… 『(凄い…こんなに振り込んでいるんだ…そりゃああいうバッティングできるのも納得だよ…あれ?)』 少女はある事に気付いた。 『このバット…ヒビが入ってる…』 『そう…3球目のインコースのボールをファールした時…反応が遅れた分、少し根元で捉えたからな』 『ご、ごめん…キミの大切なバットを…』 『別にいいさ、それよりも…』 『俺は野球を始めてから、ずっと木製バットを使ってた。それで1回もヒビが入ったり、折ることもなかった』 『今日君のボールの球威に負けた、そしてバットにヒビが入った』 『俺のバットを折るような、そんないい投手をメンバーに入れない訳にはいかない』 『じ、じゃあ…』 『甲子園で優勝するには君の力が必要だ、一緒に戦ってくれるか?』 『あ…や…やった…』ポロポロ 『やったぁぁー!!』 『それに改めて謝らせてくれ、先ほどはすまなかった…』 虎太郎は少女に向かってお辞儀をした。 『そ、そんな頭下げないでよ!それに僕もう怒ってないから!』 『それに嬉しかったんだ…』 『君みたいな凄いバッターに認めてもらえて…』 『ずっと野球好きで…やってて良かったって…本当に凄く嬉しいんだ!』ニコッ 『…っ!』 少女の笑顔を見た瞬間、なぜか自分の顔が熱くなってるのを虎太郎は感じた。 『あ、名前言うの忘れてたね…』 『僕は早川 あおい(ハヤカワ アオイ)!よろしくね!こたろーくん!』 『ああ…あおい、だな…よろしく』 2人は握手をした。 そしてこの瞬間が、後に高校野球に大きな歴史を刻む事になる恋恋高校野球部の奇跡の物語が始まったのであった…! 第1章 完
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