最終地点へ

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私はそこに座って思った。彼女をどこかで見たことあるような感じがした。 彼女は目を覚まし、私に気付いて座ったまま軽くお辞儀する。私もお辞儀を返した。彼女はそんな私を見て驚いた顔をした。 「あの……もしかして優くん?」 彼女は私にそう聞いてくる。私の名前は神宮優(かなみやゆう)、子供の頃から優くんと呼ばれることが多かった。 「もしかして春花さん?」 「やっぱり。小学校卒業して以来ね。もう、さん付けなしで呼んでくれないのね」 彼女は狭間春花(はざまはるか)。春花さんと呼ぶのが多かった。彼女と私は初恋相手で『さん』を付けずに呼び合う仲だった。しかし卒業式を境に私たちは離れた。学校がそれぞれ違うところだから。『忘れないで欲しい。たとえ別れても。また会えることがあるなら運命として会おう。たとえ他の人と恋をしたら私たちの恋は終わるだろう。それでも……』と桜がまだ咲きもせず茶色一色の木の下で私が彼女と交わした言葉はそれだけだった。彼女は『もちろん。ではその日まで』と答えていた。しかしまたここで会えるとは。 「それにしても奇跡ってあるんだね」と彼女はしみじみと言う。 「そうだね」     
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