最終地点へ

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やはり聞けない。異性だからか。私は独身だ。彼女ほど好きな人がいなかった。いや、正確にいうと好きそうな人はいた。もちろん、アタックしようとした。しかし彼女ほどの魅力が足りなかった。だからアタックすることはなかった。私はこんなだが、彼女はどうだろう。黄緑色のワンピースから覗かせる彼女の白い腕、白いハイヒールの上を伸び上がる細身の足、可愛らしい顔立ち。そんな彼女を好みたがる男はいくらでもいるだろう。 「ねぇ、ゆうくん……その……ねぇ……」 彼女の白い肌が薄く赤くなる。約束の答えが気になるようだ。私は彼女に聞く前に答えてあげる。 「まだ好きな人はいないよ。ただ春花だけは好きだ」 私は呼び捨てで彼女の名前を言ってしまった。それに気づいたのか分からないが、彼女は微笑んで「私も」と静かに答えた。そしてこう言う。 「ねぇ、ゆうくん。もしよかったら……」 「ごめん。ダメだ」 「なん……で?」 急に彼女は涙声で言う。 「ごめん、そういうダメじゃない。付き合うのはいい。でも、こちらから申し上げたかったから。そういうわけで付き合ってくれませんか?結婚前提の恋人として……」 彼女は私の言葉に力強く頷いた後、「えぇ、もちろん」と答えた。 その時だった。チャイムらしきものが鳴り、アナウンスがかかった。 『現在、この新幹線内で何らかのウィルスを吸った者が一人いる模様。その人に感染して人々にウィルスで影響をもたらしている模様。危険ですので身を確認して今後の放送をお待ちして下さい。ただし自ら対処できる場合はしてもよろしいですが、危険ですので外に出ないで下さい。どちらにせよ、死にますよ』     
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