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私たちが話している最中に私たちの後ろの列車が徐々に騒がしくなってきた。その騒がしさがかなり増した時に彼女は私に言った。
「なんか騒がしいね」
「うん」
「ひぃ……」
彼女は不気味な声を上げた。私は振り返った。
扉の先から地獄絵図でも描いてるのかと思わせる光景があった。
床にはケチャップほどの赤い液体が飛び散っており、それを踏んで扉を叩く人たち。その人たちは黒い点が真上を向いて白目になってしまいそうだ。中には女も男もいる。ましてや子どももいるようだ。
これはやばい、と察した私は彼女の右手を右手で持ち、左手で自分の荷物と彼女の荷物を持った。
そして私は周りの客席に言う。
「みんなー、逃げろー」
「逃げろ?どこへ?」
近くにいた中年の男性が答える。その男も目が白目に近い。そして彼女に襲いかかろうとした。
「おい、邪魔だよ」
その時、彼の後ろから声がした。私たちと同じくらいの年齢の男が彼を思いっきり蹴り、彼はその場に倒れ込んだ。
「チッ……。お前ら以外、ここにいるの……奴らと同じだぞ?」
「ちょい……私を忘れるな。超可憐な美しい女……その名も……」
前の電車の入り口から話す女性が言う。彼女はサバイバルナイフを二つ持って襲ってくる人たちの両目や腕、さらには肺のあたりを刺していた。それを見ていると気分が悪い。
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