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「お前たち、ここで吐くなよ?吐くぐらいなら全力で走れー。あけみと俺に任せろ」
「ゆきくんったらこんなところで格好つけちゃって」
「うるせぇよ、バーカ」
「バカというヤツほどバカだ」
「残念だけどアホよ」
私は彼女の右手を持つ。
走りながら言う。
「ごめんなさい。ありがとうございます」
「おうよ」
男性はそう答えた。私たちは次の列車に乗り込んだ。
ここも同様だった。私は直感した。とにかく全力で走って運転手まで行かなくてはいけないと。そしてこの新幹線を止めるんだと。そう、最終地点を目指して何としてでも走るんだ。
私は持っている荷物で周りの敵を払う。足を止めることはない。
しかし自分たちが座っていた場所から六つ目の列車で足が止まった。
そこには野球バットを持っている九人の白目になっている人たちがいた。高校生ぐらいだろう。制服姿が凛々しい。
「ねぇ、私たちここまで?」
後ろから彼女は聞いてきた。
その時だった。
「そんな物騒な者を持つ若者が人を襲うとはね。世の中もまた物騒になったねぇ」
銃声が前から九発聞こえる。
「まぁ、人のこと言えねぇか?警察が実弾で人を殺すなんてなぁ。ん?生存者か?荷物……汚ねぇな、おい」
「あの……」
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