1人が本棚に入れています
本棚に追加
最終地点へ
人が行き交う階段を下り、文字と矢印を確認して左へ突き進む。
『新幹線』
そう、それが私の今乗ろうとしている乗り物である。
私は腕時計を見て電子掲示板を見た。
時間も行き先もあってる。
指定席の券も手に持っている。
あとはここで待つだけ……と心に決めていた。
しかしその掲示板の文字を見ながら音声を聞いていた。
『まもなく新かんせんが来ます。……ら……』
正直の話、新幹線に乗るのはこれが初めてだった。しかしこの掲示板がおかしいのは分かる。なぜなら、アナウンスが言ったはずの「まもなく新幹線が来ます。しばらくお待ちください(その後の内容は省略するが)」と表記してないからだ。『新かんせん』とは何か。その疑問が脳内を一瞬駆け巡ったが、気のせいだと思い考えないことにした。
新幹線は私の髪を乱す風と共に勢いよく来た。
私の指定席の新幹線の入り口前にいる彼女に指定席の券を渡した。彼女はそれを確認して「はい。いってらっしゃい」と言った。
中に入るとところどころで席が空いている。私の指定席に辿り着くと私の目の前の席に女性が座っていた。彼女はどうやら居眠りしている。少し気まずいが、彼女の前に座ることにした。
最初のコメントを投稿しよう!