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僕は、女性が入れてくれた、少し濃いめのコーヒーに口をつけると、
女性はまた廊下に戻り、カチャカチャと何か音をさせた後、脱衣所に入っていく。
僕は、手持ち無沙汰になり、なんとなく部屋を見渡す。
しかし、そこに期待していた女性らしいものは皆無だった。
というか、部屋の真ん中に置かれた小さなテーブル以外、家具がない。
部屋の角に、青いスーツケースが一つあるだけだ。
僕は、なんとなく違和感を感じた。
それから、ちょこちょことコーヒーに口をつけながら待っていたが、女性が戻ってこない。
もう10分は経っていた。
「……あのぉ……」
なんとなく、不安になって廊下に向かって声をかけるが、返事はない。
トイレに入ったのかもと思いながらも、なんとも言えない違和感が胸に広がっていく。
娘を呼びに行くと言って、脱衣所に入った事。
部屋に家具がない事。
というか、部屋がこの自分のいる部屋しかない事。
何かがおかしい。
胸の鼓動が少しづつ早くなり、なんだか頭も痛くなって来た。
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