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担任の口から聞く凪野の容態は、命に別状は無いという事だけだった。
しかし、そう告げられた佳織は、実際に命を落としている。
昨日、特段体調を崩した素振りもなかった凪野が、なぜ急に……。
不幸の記憶が僕の焦燥感を募らせる。
ショートホームルームの後、
「しょーうーまーくん!」
と話しかける声は、後ろの席の佐藤 麻里だった。
僕は空気の読めない佐藤があまり得意でなかった。
「最近なんか悪いことばかり続くよね……。」
「そうだね。」
早く切り上げたい僕は、あしらうように適当に相槌を打つ。
「そうそう、舞台監督すごかったね。翔馬くん絶対才能あるよ!」
佳織が死んで、凪野が入院して……。
にも関わらずなぜこんなに明るく話しかけるのか理解に苦しむ。
正直、関わりたくない。
そう思った時、佐藤を拒絶するかのように口元からアクビが出る。
それを見た佐藤は
「緒方くんって、いつもアクビばかりしてるよね。
こっちまでアクビが感染っちゃいそう…ふぁぁ……」
と、釣られてアクビをする。
ーーアクビが…感染る……?
佐藤の言葉に僕はギクリとした。
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