冒険者ギルドのエイプ

2/5
前へ
/158ページ
次へ
「ああ、髪がいつもより暗いんだな! いやそんな魔道具があると兵士が困るだろ」  指名手配なんて髪と目の色にそこそこ似ている絵なんだから、と難しい顔をされても困るのだが。 「高額になるので貴族くらいしか買えませんよ」 「だが後ろ暗い連中はそういうのに飛びつくかんなー」  そんなもん知るか。と思ったが口には出さず、そういうものなんですかねーと話を逸らす。 「まあいい、とにかく臨時でパーティに入ってくれや。魔術士待ちんとこがけっこうあってよ、ぶうぶう言われてんだ」 「なるほど。どこのギルマスも大変ですね」 「わかってくれるか? んで明日なんだがよ」  ほくほく顔で依頼の話を始めようとしたガルムに、被せ気味に言葉を投げる。 「嫌です。この際はっきり言っておきますが、助っ人はお断りです。あまりしつこく勧めるなら冒険者ギルドも辞めます」 「……あ?」  通常でも怖い顔をしているガルムの顔が、ひどいことになった。本音を語り合える仲だと思ったのに、どうやら違ったらしい。 「おめえうちのギルド舐めてんのか?」 「怖い! 顔が怖いです! だって嫌なんですよ、毎回文句言われるんですよ? 依頼料も渋ってくるし、そっちこそ掃除屋舐めてるんですか!?」 「なんの権威もねーくせに何偉そうにしてんだてめえ!」     
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1410人が本棚に入れています
本棚に追加