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「ああ、髪がいつもより暗いんだな! いやそんな魔道具があると兵士が困るだろ」
指名手配なんて髪と目の色にそこそこ似ている絵なんだから、と難しい顔をされても困るのだが。
「高額になるので貴族くらいしか買えませんよ」
「だが後ろ暗い連中はそういうのに飛びつくかんなー」
そんなもん知るか。と思ったが口には出さず、そういうものなんですかねーと話を逸らす。
「まあいい、とにかく臨時でパーティに入ってくれや。魔術士待ちんとこがけっこうあってよ、ぶうぶう言われてんだ」
「なるほど。どこのギルマスも大変ですね」
「わかってくれるか? んで明日なんだがよ」
ほくほく顔で依頼の話を始めようとしたガルムに、被せ気味に言葉を投げる。
「嫌です。この際はっきり言っておきますが、助っ人はお断りです。あまりしつこく勧めるなら冒険者ギルドも辞めます」
「……あ?」
通常でも怖い顔をしているガルムの顔が、ひどいことになった。本音を語り合える仲だと思ったのに、どうやら違ったらしい。
「おめえうちのギルド舐めてんのか?」
「怖い! 顔が怖いです! だって嫌なんですよ、毎回文句言われるんですよ? 依頼料も渋ってくるし、そっちこそ掃除屋舐めてるんですか!?」
「なんの権威もねーくせに何偉そうにしてんだてめえ!」
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