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強者の義務
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最近アルさん見ないんですけどー、とイゾッタが言ってきたのでまたか、と額を押さえた。
なんかさりげなくアルは知り合いというか、顔見知りが多かったようで困っている。
知らない冒険者に相方どこ行ってんだ? とか、青のはどうした、とか。なんか気軽に聞いてくるのでつい死にましたよ、って軽く答えてしまい、そこから怒涛のあいつはいい奴だった飲み会に発展するのだ。
冒険者のルールなのだろうか。
「アルなら死にましたよ」
「私、そういう冗談は嫌いです」
きっぱりとそう言ってぐたりとテーブルに突っ伏したイゾッタは、潤いが足りないんですよ、と最近の恋愛事情を話し出した。
俺、ちゃんと教えてやったからな? 次聞いてきても答えないからな。
今日はリオはもう帰った後らしく、ガルムも降りて来ないので静かなものだ。少しイゾッタの声が耳障りだが、黙らせる必要もなく他の冒険者たちの雑多な声に溶けていく。
右から左に聞き流していた恋愛話にひと段落ついたのか、イゾッタはエールをお代わりした。
「私、このままいい人出来なかったらどうなるんでしょうか」
「それは俺も知りたいです」
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