強者の義務

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強者の義務

0    最近アルさん見ないんですけどー、とイゾッタが言ってきたのでまたか、と額を押さえた。  なんかさりげなくアルは知り合いというか、顔見知りが多かったようで困っている。  知らない冒険者に相方どこ行ってんだ? とか、青のはどうした、とか。なんか気軽に聞いてくるのでつい死にましたよ、って軽く答えてしまい、そこから怒涛のあいつはいい奴だった飲み会に発展するのだ。  冒険者のルールなのだろうか。 「アルなら死にましたよ」 「私、そういう冗談は嫌いです」  きっぱりとそう言ってぐたりとテーブルに突っ伏したイゾッタは、潤いが足りないんですよ、と最近の恋愛事情を話し出した。  俺、ちゃんと教えてやったからな? 次聞いてきても答えないからな。  今日はリオはもう帰った後らしく、ガルムも降りて来ないので静かなものだ。少しイゾッタの声が耳障りだが、黙らせる必要もなく他の冒険者たちの雑多な声に溶けていく。  右から左に聞き流していた恋愛話にひと段落ついたのか、イゾッタはエールをお代わりした。 「私、このままいい人出来なかったらどうなるんでしょうか」 「それは俺も知りたいです」     
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