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沈痛な面持ちで席を立ち、ふらふらした足取りでガルムは階段をあがって行ってしまった。あ、階段横の席だから勝手に座ってくるんじゃないのか? でも今さら場所替えもしたくないしな。
摘まみがなくなったので席を立ち、掲示板を覗いてみる。ざっと目を通し、清掃依頼がなかったのでギルドを後にした。
翌々日にギルドへ夕飯を食べに行ったら、またガルムがやって来た。実は暇なんじゃないかと疑っていたら、奢ってやると言われてしまった。
「では遠慮なく。すいませーん、火酒くださーい」
「はーい、銅貨10枚よー」
「あ、今日の飲み分はギルマスが払います」
火酒がきてから、ガルムはシリアスな表情で口を開き、あいつはすげー奴だったと語り始めたので黙って聞く。
一通り語り、お前は大丈夫かと聞かれたので肩を竦める。
「まあぼちぼちやっていきますよ。それよりリオは来ましたか? 黒髪のスラムのガキなんですけど、俺が浄化を教えたんで、他のガキより使えますから仕事があったら回してやってください」
「そんなことしてんのか?」
「成り行きですけどね。黒の掃除屋誕生ですよ。こうやって地道にメンバーを増やしてですね、掃除屋舐めてるのかを決め台詞にエイプと戦います」
「ったく、心配して損したぜ」
「おかげで今夜はいっぱい飲めました。では帰ります、お疲れ様でした」
ふははと笑ってガルムと別れ、冒険者通りを歩く。
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