3人が本棚に入れています
本棚に追加
一方その頃、木下家では、絢香の盛大なバースデーパーティーが開かれていた。
鳴り響くクラッカー。
巨大なケーキ。
豪華な料理。
だが、主役の絢香は、なぜか少し寂しそうにしている。
「絢香ちゃん、どうしたの?
元気ないから、みんな心配してるよ?」
「ごめんね…実は今日、みんなに私の新しい家族を紹介したかったんだけど、どこかに行っちゃって……」
その時、ベランダの窓をひっかく音が聞こえ、絢香は振り向く。
「あっ、帰って来た!」
絢香は、はじけるような笑顔に戻り、ベランダの窓を開ける。
そして、そこに入ってきた猫を抱き上げた。
「みんな、紹介するね!
私の新しい家族の……」
そう言いかけた時、抱き上げた猫がくわえていた袋がかたむき、
中からドス黒い色の巨大なドブネズミの大群が、ボトボトとこぼれ落ちた。
一方、野良猫商店では、神社の床下から引っ越しの準備がすすんでいた。
「三代目……あんたに家猫は、似合わニャいよ……」
最初のコメントを投稿しよう!